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第一回 Vol.2 DXの意義の遷移
~現場を支える存在から経営を支え、社会課題を解決する存在へ

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第一回 Vol.2 DXの意義の遷移 ~現場を支える存在から経営を支え、社会課題を解決する存在へ

第一回アドバイザリーボード

  1. Vol.1 DXにかかる経営者の想いと導入への壁
  2. Vol.2 DXの意義の遷移 ~現場を支える存在から経営を支え、社会課題を解決する存在へ
  3. Vol.3 DX導入に向けたカルチャー改革
  4. Vol.4 中部電力グループにおけるDXの現状と今後の方向性
  5. Vol.5 DX人材の活用に向けて

第一回のアジェンダは、広義のAIの活用によるDXとそのポイントについて。
DXにかかる経営者の想いと導入への壁 <アドバイザリーボードVol.1> の続きです。

AIは社会課題を解決する存在に

ACN保 科
昨今では、AIを使った現場業務の効率化から、経営を支える・経営課題を解決するフェーズに移行しつつあります。
事例を紹介していきましょう。

会社のKPIが可視化される「経営ダッシュボート」を使用する経営者が増えています。ここから進化し、KPIが実際には年度末にどのように落ち着く見込みであるかを予測します。予測に対するアクションのレコメンドに加え、そのアクションを取った際の途中のパラメータについてもシミュレーションするようになっています。

例えば、在庫を調整する際に、生産の計画だけでなく輸送経路や手法(海運、空輸など)もシミュレーション可能。その際に重要なのが予測のアルゴリズムです。
これは奥が深く、精度が高いだけでなく、どのパラメータがどう効いているのかなど、理由についてもある程度分かることが必要です。
人間の判断が入らない部分は、想定の要因理解よりも精度を追い求めることも用途に応じて選択できます。

社会に貢献するAIという意味で、ヘルスケア分野の事例を紹介しましょう。
日本の保険医療制度は、このままだと立ち行かなくなる恐れがあります。保険医療費の約3割は生活習慣病に紐づきますが、本人の意識次第で医療費を抑えられるという意味で注目しています。
アクセンチュアでは、糖尿病予測の第一人者である国立国際医療研究センターの溝上先生との共同研究で、溝上先生の医療統計モデルにAIを掛け合わせることで、糖尿病・高血圧・脂質異常といった生活習慣病の予測モデルを共作しています。

これは、KDDIのヘルスケアアプリに組み込まれているほか、数社から引合いがある状況です。
そのほかにも、腎疾患の第一人者である東京女子医大の田邉病院長と腎移植の際の投薬タイミングなど、医者の判断をAIでサポートする予防・予測モデルを構築しています。
ただ、現状では病院内外または学会ごとのデータが分断されており、データサイエンティスト視点で見ると非常にもったいないです。そのため、ヘルスケアプラットフォームに組み込むことで、早期発見や予防に努める必要性を感じています。

その際には、行政だけでなく製薬企業や病院、患者の家族に加え、中部電力のような地域を支える会社との連携も必要。ぜひ、今後協議させていただきたいです。

社会に貢献するAIという意味で、もう一つ重要な観点が自然災害です。日本は世界的に見ても自然災害が多い国。
洪水などのリスクコントロール観点からのダムのコントロールや、実際に災害が起こった際のアラート、避難誘導の効率化などが必要となります。これらについて想定される事業者として、国の研究所はもちろんのこと、企業や教育機関なども不可欠です。例えばアクセンチュアでは、京都大学とアクセンチュアのAIセンターと連携し、防災領域の共同研究も開始しています。地域の防災を考えるという意味において、中部電力との連携もあり得るのではないかと考えます。

責任あるAI活用のために

ACN保 科
これまでAIの明るい面を話してきましたが、リスクも考慮する必要があります。AIの倫理・責任についてのお話をしていきます。

日本ではまだあまり大きな問題は発生していませんが、米国中心にAIによる差別的発言などについて、関連規制が入り始めています。
米国は場当たり規制の印象が強いですが、欧州では政治的な動きをしています。米国にITの主導権を握られたくないという観点から、AIのあるべき姿に関する規制の導入が検討されはじめています。
ルール決めが行われているタイミングのため、AIのサービスを作る際にもセンシティブにならざるを得ない状況だといえます。
AIが信用・信頼できること、理解できること、安全であること、共に学びあう際に人間中心のデザインになっていること、を考えねばなりません。
責任あるAI
このような観点から、アクセンチュアはAIプロジェクトのガバナンスモデルを作っています。
設計段階やモニタリング時に、どこでどのようなリスクが入り込むかを見なくてはいけません。人を含めてどのように再教育をするのか、全体管理が必要です。
AIが実際にどのような振る舞いをし、社会的にどのような影響を与えるのかについて、データサイエンスに詳しい人のみでは正しく判断ができないと考えます。それを適切に審査できる倫理委員会のようなものがいるのではないでしょうか。

その点では、日本企業の経営トップ層において、DXを自分事として捉える観点が、薄弱であると感じます。
有事の際に、本人だけでなく対応するチームも必要です。AIに限った話ではないですが、誤報も込みで問題が起こった際に報告される環境・仕組みが重要と言えるでしょう。

Vol .3 DX導入に向けたカルチャー改革 に続きます。
第一回アドバイザリーボード
  1. Vol.1 DXにかかる経営者の想いと導入への壁
  2. Vol.2 DXの意義の遷移 ~現場を支える存在から経営を支え、社会課題を解決する存在へ
  3. Vol.3 DX導入に向けたカルチャー改革
  4. Vol.4 中部電力グループにおけるDXの現状と今後の方向性
  5. Vol.5 DX人材の活用に向けて