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第二回 Vol.6 経営戦略の中のDX

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第二回のアジェンダは、AI導入によるDX推進の仕掛けと人材育成について。
AI導入・拡大の人材育成課題<アドバイザリーボードVol.5> の続きです。

DX推進とKPI設定

TCAの業務領域と必要ケイパビリティ
ACN五十嵐
今のTCAは課題抽出フェーズにあるわけではなく、一定の成果を上げることが求められていると思いますが、KPIはありますか。
TCA西 浦
それぞれの案件でどれくらいの効果を出すのかについては、分析企画の工程で定義しており、それをクリアしたのかを評価しています。
ACN五十嵐
TCAの活動全体でのKPIはありますか。
TCA野 田
トータルのKPIはまだ設けておらず、個別案件で設けている状況です。
CE 増 田
設立時点では計画自体もかなり流動的であったこともあり、半期経った辺りのタイミングでどのようにモニタリングするかを中部電力側で考えていかなければいけないと考えます。
中部電力の事業創造本部では子会社をいくつか立ち上げています。それらをどのように管理し、成果を評価するためのKPIをどのように設定するのかについて、対TCAを含めて考える必要があります。
TCA西 浦
そもそもTCAはプロフィットセンターとして設立された経緯があります。各々の案件を、ユーザーへの提供価値と売上・利益で評価し、TCAの経営会議でレビューしています。
中部電力グループのDXという観点では、目的が曖昧でなんとなくデータを使ってみたいという要望に対し適切な効果をTCAが支援し、設定することも少なくありません。そのため、案件単位でしか現在は効果を測れていないという状況です。
ACN五十嵐
そこが定まってくるとよいですね。
TCA西 浦
仰る通りです。中部電力グループとしての大きな目標感を皆が持ちながら進めることが必要で、経営ビジョンから各業務へ落とし込んだ時に、業務がどのように変わるのかというところがKPIに紐づいてくるため、そういった部分をTCAが一緒に作っていければ良いと考えています。
ACN五十嵐
グループ全体でのKPI設定はなかなか難しいということは、他社の事例でも見られました。そのため、機能子会社に利益貢献や人材育成、部門のDXへの取組みといったKPIを設定した例もあります。まずはその価値を認めてもらうような取組みを始めたという実績があります。
CE 増 田
現状に近い印象です。年度初めにさまざまな案件を獲得し、それプラスアルファでの目標を立てましたが、それが全体でのKPIにはなっていないということです。
TCA野 田
顧客としての中部電力グループの顧客満足度はどの程度か、といったようなものをブレークダウンしていくと、例えばDXの進展具合やコスト削減の度合いといったものに繋がります。このレベルがマクロのKPIとして見ていくものと考えます。現在、TCAが管理しているのは、売上げに加え、個別案件の進捗しかないので、私も課題と認識しています。
ただ、年度当初から大幅に案件が入れ替わっているため、当初の世界観と変わってしまっているという事実もあります。
ACN五十嵐
最初に下手に設定しなくてよかったという考え方もあります。ある程度の方向性が見えた段階で、全体のKPIを設定していくことも必要です。
TCA野 田
実績をレビューしつつ、考えるということでしょうか。
ACN五十嵐
柔軟に変更していけばよいです。
ACN竹 井
案件の優先順位はどのように決定していますか。
TCA西 浦
TCAが直接契約している案件については、TCAとしても効果を考慮し推進しています。一方で、中部電力のITシステムセンター(ITSC)を経由して受注している案件については主管部の意向で実施しているものもあり、コストと効果がバランスしていない案件もあるのが実態です。
CE 内 田
ITSCとしては、各案件の効果を各部門長レベルに説明しており、全体のKPIは設定していないです。
全体のKPIを経営層に対して説明したとしても、実感を持って受け止められないような気もしており。難しさを感じていますがいかがでしょうか。
ACN五十嵐
全体KPIの観点では効果が大きな案件に注力し、細かい案件が受け入れられないことも起こるため、現場に不満が生じる場合もあります。
案件の効果は、利用部門が業務に適用した際の費用削減効果から導入費用を減ずる形で評価します。実際には業務適用までに至らずに、実証で終わったり、検討が止まったりしてしまう案件もあります。
業務適用には、IT人材やコンサル人材も必要になります。次なる課題として、限られた費用の中で行うことが困難になってしまうことも考えられます。データ分析の会社の中にどこまでの機能を持たせるかは難しい問題です。
先ほどの話にも合ったように、中電シーティーアイ(CTI)では先んじて業務改革に取り組んでいるという話もあったため、TCAとうまく協業できればいいと考えます。
TCA野 田
分析モデルを構築しても、それをシステムに実装していかねば意味がありません。CTIとは、うまく連携しようという話をしています。
実証で停滞するパターンは必ず発生すると思いますが、それを啓蒙して業務適用にまで持っていく仕組みが必要であると認識しています。
ACN五十嵐
ユーザー部門からすると、業務適用してこそ効果が生まれます。
ACN保 科
実証で停滞する事例には、ある程度のパターンがあります。チェックポイントがいくつかあるため、また興味があれば説明させていただきます。
CE 内 田
必要となる費用の工面や費用対効果の検証を含めて、うまくシステムにパスできるか。また、効果を出すために多様な部門にまたがって業務変革を行う必要がある場合もあります。
ACN保 科
フェーズごとの見極めが非常に大事です。また、システムに導入して終わりではなく、業務適用した後にうまく運用してAIを成長させるサイクルを回していくという観点もAI案件では重要です。
CE 内 田
そのような話はやはり組織的な壁があり、ITSCはシステム、データ分析はTCAと切り分けて見られてしまっています。
経営層やユーザー部門からは連携が見えてないということが事実としてあるため、認識を変えていかなければいけません。
ACN保 科
私の組織で運用もやっていますが、データサイエンティストがすべきものか、それ以外でもいいものかを機能によって振り分けています。
ACN五十嵐
AI人員にもレベル感があるということです。
ACN保 科
私自身はビジネス コンサルティング本部に属していますが、AIセンターは社内のどの部署にも属していないというのが一つのポイントです。
TCA野 田
ACNは大きな組織なので役割分担がしやすい面もあると思いますが、TCAはまだ十数名規模の会社です。各人が様々な役割を担わないと運営できません。会社をどう成長させるか、成長に合わせてどのように役割分担をしていくかということを、時期と要員規模と仕事の量を見ながら考えていく必要があります。
ACN五十嵐
実証までをKPIとしていたが、実際には業務適用が重要だという認識に変わり、かなりの要員を増強した例もあります。その際にKPIが見直されています。
TCA野 田
TCAも今はぎりぎりの状態で回していますが、これは有難いことであり良いことです。さまざまな課題が出てくるということは、その課題を解決したいと考えている人が中部電力グループ内にいるということ。
先ほどの話にもあったように、その課題の中に人事コンサルのようなTCAの業務範疇でない事象が出てきた際、どこにそれを割り振るかという問題が出てきます。この際に、思考停止に陥ることなく明確な目的意識を持って課題に取り組むことが必要です。

常に考えること、そしてスタートを切ること

ACN五十嵐
DXを進めるということは常に考えるということ。ACN内でも人事コンサルは引く手あまたの状態ですが、単独で仕事をすることはなく、データを扱う人と連携しています。
TCA野 田
人事コンサルが絡むような案件に、TCAとしてどのように相対するのかという課題はあります。提案の際に、データ分析とそれらのパッケージとしないとうまく思考を回せません。
TCA西 浦
いきなり大きく変革することは難しいので、まずはスタートを切ることが肝要です。少しずつでも事柄を動かすよう仕掛けていかないと、変革は生まれないのではと考えています。
CE 増 田
対象をグループ全体として、経営戦略本部などのマネジメントマターとしまうと動きづらくなり、スタートを切ることすらもできなくなってしまう懸念があります。
小さく試行的にやる、現場が意識を持ってやる、そのための分社化・カンパニー化です。そうは言いながら、今の現場では自分たちでどこまでのことをやっていいのかと逡巡してしまう可能性もあります。
CE 内 田
一度ITSCでも考えてみたいです。
ACN保 科
まずやってみることが大事です。デジタル系の人材育成でも机上のトレーニングはありますが、本を10冊読むよりも少しでも実際に経験する方が意味は大きいです。いろいろなラインで小規模でも検討をスタートし、そこから拡張していくことが望ましいと考えています。
TCA西 浦
今後、ACNのAIセンターのような機能を、中部電力全体の仕組みとして構築していくことができるよう、CTIと協力しながら支援していきたいです。
CE 増 田
経営戦略としてのDXにおいて、グループ全体で保有する必要がある機能を整理し、その中でTCAやCTIが担う部分の仕分けを早期に実施する必要があります。
Vol .6 経営戦略の中のDX に続きます。