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第三回 Vol.3 TCA実施案件から見える課題と学び(2)

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第三回のアジェンダは、TCAとして注力する案件の方向性と個別事例の振返りについて。
TCA実施案件から見える課題と学び(1)<アドバイザリーボードVol.2> の続きです。

課題C 目的に応じたツール導入の必要性

TCA西 浦
次に紹介する課題Cは、目的に応じたツール導入の必要性です。
業務高度化を分析ツールの導入によって実現しようという動きはよく見られるものです。
分析ツール自体を否定するものではありませんが、業務上の利用目的を明確にした上でツールの使い方を考え必要なものを導入していかないと効果的な活用ができないと思っています。
業務高度化の目的・方向性を明確化することで、目的に応じた最適なデータ活用方針の設計や使用ツールの目利きを行うことが重要です。

人材育成に繋がる課題

CE 伊 藤
私もかつては簡易な分析はやってきました。昔はクエリで切り出して、Excelシートを大量に出力して、関数を多く書いて、といったトライアルをしていました。
分析ツールの実演をしてもらったことがあり、かつて行っていたような分析が簡単にツールで繋がるのはすごいと思うのですが、その時はExcelで頑張ればできなくはないという印象を受けました。
分析の経験があり、どこまでをツールで行い、どこからは機械学習などが必要なのかを分かっている人材がいないと、オーダーを間違ってしまいます。それができる人材がまだ十分にはいないというのが中部電力グループとしての課題です。
TCA野 田
こちらから課題提起をしつつ、議論を深めることが多いと感じています。
中部電力の立場で考えると、そのような能力を持つ人材をもう少し増やさなければならないと思います。今後、人材育成の話を進めていくので、その中でどのレベルが必要となるのかを議論するには役に立つと思います。
TCA野 村
中電シーティーアイとしてもさまざまな業務効率化に取り組みましたが、業務の本質的な課題が見えているからこそできることがあったように感じます。
今後は新たな価値の創造を目指しますが、プロジェクトの停滞や軌道修正が多く起こることが想定されます。
話のレベル感は違うかもしれないですが根本は同じで、本来の目的が重要です。システムを入れることが目的になってしまっては、本末転倒です。

課題D PoC段階での業務適用

TCA西 浦
続いて紹介するのは、PoC段階での業務適用という課題です。
業務の高度化に向けてPoCで分析モデルを構築したところ、一定のパフォーマンスが出たことから実際にシステムに組み込もうとしてしまうことがあります。
実際に分析モデルの内容を確認すると、PoC段階のものではやはり実用に適さないものであることが往々にして見受けられます
PoCでは限られたリソースの中で業務を進めるという手法を採ることもあり、十分に業務知見やノウハウを組み込むことができない可能性も高いです。
できるのかどうかを試みることはよいことですが、そもそも検証段階のものをそのまま業務適用することは本来の目的から逸脱しています。

モデルを受け取る側が業務適用に向けどのように業務や関連システムに組み込んでいくかを総合的に判断できるよう、ユーザー側のケイパビリティ(capability/能力)も向上しなければならないと考えます。
先ほどDX人材の育成という話がありましたが、ユーザー側の意識やスキルなど、保有すべきケイパビリティを付与していく部分については我々も意識したいと思います。
ACN保 科
分析モデルにおいては「今は精度が出ないが、使っている中で進化する」ことを期待してシステムとしてリリースすることはあまり考えてはいけません。一定の精度を出せない時点で、業務システムに埋め込むべきではないでしょう。

未だに私が最も苦労しているのは、分析モデルを構築するところではなく、業務に実装するところです。もし他社と組む場合には、その部分をしっかりと行うことができるところと組むべきです。頼りっぱなしにするのではなく、自社の人材が取り組みを通して経験値を積んでいくことが必要です。
Vol .4 TCA実施案件から見える課題と学び(3) に続きます。