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第四回 Vol.4 新旧システムおよび組織の相違点

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状況に応じた新たな手法の模索

新しいタイプの分析基盤と、従来の基幹システムとではシステムアーキテクチャの思想が全く違ってきます。中部電力のシステムは、特に堅牢性が高いシステムとなっていますが、新しいタイプの分析基盤システムでは、堅牢性よりも柔軟性が重視されています。
新しいタイプのシステムでは、素早くデータを貯め込み、それをマイクロサービス用に次々と切り出して、いろいろな部分で使えるようにするという思想が根底にあります。
アクセンチュアにおいても、いわゆる堅牢なシステムを構築するテクノロジーのグループもいれば、素早くデータを収集・分析し、そこから得られるインサイトの活用を進めるグループもいます。
システムの堅牢性を目指す領域とは別の領域があることを広く理解いただき、基幹システムはなるべく変更することなく、データを活用する業務側にいかにデータを連携するのかが重要です。

グループ全体での最適化を目指して

中部電力グループでは、データプラットフォームだけでなく標準ITアーキテクチャの整理も進めています。これらの構築には、さまざまな経営資源の投入が必要となります。
各事業会社とは協力しながら進めていくことが必要ですが、具体的な議論を始めてみると纏めるのには難しい部分も見えてきます。実行には労力を要しますが、考え方が乱立する状態は柔軟性にも欠け、グループ全体の最適化の観点から望ましい状態ではありません。
特に中部電力のように分社化をしている会社では、分社化後は各々の会社が自由に議論を進めたがる傾向になります。そこをしっかりとまとめる役割が必要であり、そのような組織に対する適切な役割設定といった課題も含めて取り組む必要があります。柔軟性と一言で言っても、組織の柔軟性も重要であると言えるでしょう。

同じ会社の中でも個々の案件の主管部署によって、データに対する捉え方が違うこともあります。各々の現場でサイロ化して連携できていないケースがあり、データとして同じもの使っているはずなのに志向が違うということが起こります。
例えば、扱うデータは同じで、時間のスケールをどのようにアルゴリズムで表現するかという違いだけという場合もあります。
客観的に見れば無駄があるとわかっても、当事部署的には捉え方が違う部分もあるため、頭ごなしに否定することはできません。

最近ではデータ指向アーキテクチャとも言われていますが、なるべく共通のデータは共通処理できるようにすべきと考えます。その際、DXの観点で進めるのか、概念としてアーキテクチャを作るのかという整理は必要です。そして、このような改革はTCAと中部電力の経営戦略本部でうまく連携して進めていかなければなりません。

中部電力グループで考えた場合に、会社単位ではなく、専門部署等を通じた横の連携を取ることで一つの会社のような捉え方をして運営するというのも一つの考え方です。この点は、議論をしながら目指す方向を定めていくしかないといえるでしょう。今後のシステム開発においても重要なポイントです。
また、トップダウンだけでなく現場からも理解を深める活動をしていくことで、両面から改革を進めていくことも大切です。

データの体系化には相当な時間がかかることが想定されます。しかし、実現することで生産性も相当に高まるでしょう。
TCAとしても少ない人数で、より多くのプロジェクトを実施できるようになります。
たとえデータそのものを共有できなくても、分析のアルゴリズムなどを共通サービスにすることで再利用性を高めていくこともできます。

Vol .5 他社のDXアプローチ(CoEの役割と人材育成)① に続きます。