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第一回 Vol.3 DX導入に向けたカルチャー改革

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第一回のアジェンダは、広義のAIの活用によるDXとそのポイントについて。
DXの意義の遷移~現場を支える存在から経営を支え、社会課題を解決する存在へ~<アドバイザリーボードvol.2> の続きです。

AI時代のキーとなる5要素

ACN保 科
最後にカルチャー変革の話をしていきましょう。人とAIが協業するには今までにない重要な5つのポイントがあり、頭文字をとって「MELDS」と呼んでいます。

まず1つめが「マインドセット」です。
RPA(Robotic Process Automationの略、事務作業などを自動化できるソフトウェアロボット)が典型ですが、現存の業務を単純に自動化するというのは小手先の話です。これは、今までにないものを産み出すということにはなりません。
大切なのは現存の業務でなく、どこに到達したいのかを考え、そのプロセスをAIによって再構築することです。

次に、「エクスペリメント(実験)」。特にリーダー層に対してですが、ミスや失敗を恐れてはならない…というより、むしろ推奨しなければならないと考えます。AIの機械学習は実際にやってみないと分からない部分が大きいからです。

これと表裏一体で「リーダーシップ」があります。例えば人の命が関わる行動に関して失敗は許されません。そのため、リーダーが失敗を許容する範囲を規定し、チームメンバーに経験を積ませることが重要です。

次に、「データ」。AIはデータが命です。データの鮮度がなく、使用期限が過ぎていたり、バイアスを内在してしまっていたために、分析モデルは良かったのに失敗するケースが少なからずあります。そのため、適切なデータサプライチェーンの構築が必要といえます。

最後に「スキル」。新しい技術に合わせたスキルを人間が身につけなければなりません。

イノベーションを加速する環境の整備

ACN保 科
私達はAI活用の実態をリサーチしたところ、企業価値を向上させている企業は高い「AIQ(AIを使いこなす能力の造語)」を持っていることが分かりました。
AIQ
縦軸に自社でAI開発し使いこなす能力、横軸に他社の技術をうまく取り込める力を採ったとき、自社開発だけでなく他社の技術をうまく取り込んでいる企業が圧倒的に成長しているという結果が出ています。
いかに世の中の技術をうまく取り込んで自分のものにするかが重要です。

私がアクセンチュア・イノベーション・ハブ東京の共同統括をやっているのも、AI構築のための環境整備として、偶然でなく必然です。

福島のイノベーションセンターでもさまざまな実証を行っています。また、実業務に適用して運用していく際にも人間とAIの協働が重要で、専用の拠点が福岡のインテリジェント・オペレーションセンターにあります。
昨年、新たにAIセンターを赤坂に創設し、ここでAIの開発・研究・サービスづくりを加速しています。何より多様な企業と、形式を問わず協業していることが特徴です。
TCA野 田
DXやAIの活用について経営層が危機感を持っているのは事実です。
我々が経営層のDXやAIの活用に対する考え方についての理解を深めるには、どうすればよいでしょうか。
ACN保 科
そもそも何を目指すのかの設定が重要です。
AIなどは道具に過ぎません。アクセンチュアがイノベーション・ハブ東京を創設したのも、どのような技術を使うのかではなく、顧客体験などの目指すものを設定する機能を持たせるためです。

つまり、ゴール設定を詰めるプロセスや経験が大切なのです。アナリティクスの会社としては、そのような場でデータを活用して何ができるのかを差し込めるかが問われます。道具があるから何かに使わねば・・・というのは本末転倒です。
ACN竹 井
2~3ヶ月前に増田副社長を訪問した際にも、同じ議論が出ました。
通常は会社全体としてのDX戦略があり、その中でデータ分析子会社やジョイントベンチャーを作ります。
中部電力は、まずエンジンを作って積上げていこうとしていますが、中部電力全体の戦略がどうなっているかが重要です。
TCA野 田
まず明確なゴールを設定すべきなのは間違いないです。
例えば、従業員や需要が減少していく一方で、アセットは一定期間維持しないといけない。このような状況において、「どの部分の業務をDX・AIで効率化するか」という議論ができることが理想と考えています。

しかしながら現状は、とりあえずまず何らかのDXを進めよう、ということになっています。
そうすると「ツールを用いてこんなことをしている」などといった、経営課題とは遠いごく部分的な話になってしまいます。
本当にDXすべき経営課題の議論にならず、現場でやれることをやっているという議論にしかなりません。これは、中部電力のボトムアップの企業カルチャーに由来するところではあります。

一方で、すぐにマインドセットを転換するのは難しい部分もあるため、まずデータでできることを示すという意味でTCAを作った側面もあります。
ACN保 科
先ほどお話ししたMELDSのMの部分はまさに「現状のプロセスに拘ることなく根本的に造り替えていく」ということ。
一度、ボトムアップでの成功事例を示すことも必要なのだと思います。
TCA野 田
その意味でTCAは成功させないといけない会社です。
成果を示して経営層から従業員にまで認識してもらうことで、メッセージも変わるのではないでしょうか。
ACN保 科
まさに冒頭の、危機感はあるがスケール方法が分からないというグローバルの経営層への調査結果と同様の話です。
CE 内 田
AIの導入の仕方が分からないという問題について、当社にもさまざまなベンチャーやベンダーなどによるAIの売り込みがあります。
各事業会社で話が進んでしまうこともありますが、選んではいけないベンダーなどはありますか。
また、外部ベンダーだとブラックボックス化してしまうことも多いです。逆に言えば、TCAの価値をどう訴求すべきでしょうか。
ACN保 科
アクセンチュアは企業の性質上、特定のサービスや製品を売りたいということはなく、多様なAIベンダーと対等以上の付き合いをしています。
グローバルでどの様なプレーヤーや技術があるのかについて、時間をかけて調査もしていますのでご相談ください。
一般論として、先方から売り込みがある場合には、あまりよいものがない傾向があります。むしろ、こういうことをしたいのだがどのプレーヤーがいいか、という相談をしていただくのがよいと思います。
TCA西 浦
TCAとして、もしくは、中部電力のITシステムセンターとして、データ分析機能の一元化やデータマネジメントのようなガバナンスを含め、どのような機能を担うべきか。共にプロセスを作っていかねばならないと考えます。
TCA栗 林
TCAが活動を始めて、さまざまな案件に取り組むことで、議論に出ている課題が見えてきていることもよいことだと感じています。
ACN保 科
成功体験を積み重ねることで、よいサイクルに持ち込むことも重要です。
Vol .4 中部電力グループにおけるDXの現状と今後の方向性 に続きます。