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第一回 Vol.4 中部電力グループにおけるDXの現状と今後の方向性

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第一回のアジェンダは、広義のAIの活用によるDXとそのポイントについて。
DX導入に向けたカルチャー改革<アドバイザリーボードvol.3> の続きです。

DXにおいてTCAが担う役割

TCA西 浦
中部電力は現場がしっかりしているという企業文化です。
それを踏まえ、ボトムアップ的役割を担うためにTCAが立ち上がった経緯もあります。

各案件の粒度がまちまちであり、取組みの目的が定かでないもの、データ分析することが目的となってしまっているものも散見されます。
ACN保 科
これは、他の会社でもよく見受けられていて苦労するところです。

若いメンバーにやる気も行動力もあり、経営層もあるべき論で号令をかけます。一方で中間層がなまじ責任を負ってしまっているために、失敗の恐れのある現状のプロセスを変更することに取り組まないケースをよく目にします。
TCA西 浦
さまざまな案件に取り組むことで、現場の業務やツールが見えてきたのはよいことです。一方、今後中部電力グループ全体で戦略を持ってDXに取り組むため、各社が自立的に取り組むテーマと、全社戦略的に取り組むテーマの峻別が必要となります。

TCA設立の目的であるノウハウの共有や知財流出阻止に資する取り組みはTCAで確実に押さえつつ、各社に任せる部分は自立的に推進できるように支援することも重要です。
大きく4つのテーマがあると考えており、①各社が目的志向を持ちつつデータ分析を行い業務に適用するサイクルを構築する個別案件、②そのために各社の人材をTCAに引き受け育てて返すような循環、③各社に共通・類似するテーマでTCAにノウハウとして蓄積する案件、④経営層が戦略的取り組みとして推進する案件です。

先ほどからの話にあるように、④についてはデータを使った実例を示しながら、TCAがドライバーになっていくことも検討していくべきだと考えます。

また、他企業や自治体とのコラボによって価値創出をしていくことも必要です。それぞれの案件を切り分ける際に、TCAがどのような役割を担う必要があるかを議論したいです。

TCAと中部電力の役割・現状と今後の課題

ACN保 科
これは重要なテーマであり、アナリティクス系のジョイントベンチャーを立ち上げる際などに、深く議論するポイントです。
中央と現場の機能を切り分け、どこで意思決定するのかは会社によって違います。中央に寄せると効率はよいですが、スピード感が損なわれます。

一方で、現場にあまねく配置できるほどDXのスキルを持つ人が十分にいません。分析のインフラや外注によりできる分析、高い専門性を必要とする高度な分析は、中央に寄せた方がよいと言えるでしょう。

何をゴールとし、何に優先的に取り組むのかについて、意思決定を誰がどのように行うのかを決めることも非常に重要です。その設計がうまくいくと、その後は円滑に回ります。
TCA野 田
仰る通りです。全体最適と部分最適が混在する状態が当面続くため、実際に案件をこなしながら全体の仕組みを作るのが、今年一年の仕事と言えます。
一方で、経営戦略を担う部門に対する働きかけも、私や栗林が中部電力とTCAの間をつなぎながら進めなければなりません。

また、電力業界特有の事業会社間の情報遮断が必要という難しい問題があります。個別の案件を受けると類似データがTCAに集まりますが、案件間での流用はできないのでしっかりとコントロールしなければなりません。

一方で、モデリングの際など共通化できる部分もあります。その境界については、今年度の取組みを通じて法的に問題のない形に仕上げていきます。
ACN保 科
データの共有は難しいと思いますが、アルゴリズムは共有できます。アルゴリズムの有無や使い方を知っているか否かが重要になってきます。
TCA野 田
データのソースが違っても、現状では中部電力ミライズと中部電力パワーグリットの保有する顧客データに大きな相違がないため、分析結果は同じとなることも考えられます。

この結果をもってデータが融通されていると疑われることがないよう、解析の建付けやプロセスをしっかりと構築し、妥当性を伝えていかねばならなりません。
ACN保 科
データの保管場所や案件ごとのデータの取り出し方、アルゴリズムは共通ですが、モデルや分析環境は全く別であることを可視化し説明しなければなりません。
TCA野 田
TCA内に倫理委員会を作るのも一つの手と言えます。
ACN保 科
俯瞰的な立場を取れる人間がレビューする仕組みは重要です。
CE 内 田
共通するモデルの構築費を誰が負担するのかという視点もあります。
初期費用はHDで負担することを考えています。
ACN保 科
アルゴリズムは共通のため、中央に集約すればよいですが、チューニングして実用化するのは現場なので、それができる人を現場に増やしていくことも必要といえるでしょう。
Vol .5 DX人材の活用に向けて に続きます。